久米郁男「労働政治」中公新書

大原の五十嵐先生がホームページでぼろくそに書いてたけど、気持ちは分かる。
昔のあれはあれで、”けしからん!”と腹が立つけれど、それはそれで面白いところもあったのだが、これはちょっとクオリティが低いかも。メモ取りながら読んだのだけど、なんかとっちらかってて論理が分からなかった。

前半の理論の部分では、「労働政治」を利益団体政治の一部として位置づけているという点が重要かな。
曰く、「労働者の利益実現過程としての労働政治は、より一般的にいるならば利益団体政治の一部である。」(p7)
この辺が某S先生やM先生らとは違うところ。

第三章の90年代の労働政治の変容については同じ対象を論じている三浦まり先生のやつの方がおもしろいな。
グローバリゼーション節なるものを批判した部分がワロタ
「しかし、この解釈の問題点は、グローバリゼーションの圧力に突き動かされてなされる諸改革が、基本的には力を強めた経営者の主導の下、労働者の利益に反してなされているという始点を過度に強調するところにある。」
「就業構造や産業構造の変化により、派遣労働や裁量労働制によって利益を得る労働者も存在するだけでなく、そのことによって日本経済の効率性が高まれば労働者にとっても利益となる・・。」だって。


後半の歴史の部分はまぁいつものやつ。

結局いいたいのは、”組合よ経済合理主義路線をとり、官民のリストラに協力せよ!”ってことか。