山崎さやか「はるか17」モーニングKC 講談社

とりあえず6巻まで読んだ感想。
はるかちゃんはとってもかわいいんだけど、この漫画は無邪気にはるか萌えすることを許してくれない。なんか独特のグロさというか、黒さというか、暴力の予感がただよってて、不気味だ(6巻のバラエティ番組とその打ち上げの描写とか読んでて気分が悪くなる)。悪人が本当に悪人なんだもの。突然有無を言わせぬ暴力が襲ってきそうでなんか怖い。
時折象徴的に用いられる動物が気持ち悪い。美奈をだましてAVに出させようとした前野の蜘蛛、はるかに襲いかかる芸人のパンツに描かれた象、はるかの足にしがみついて腰を振る犬。そしてほとんど獣のように描かれた芸能界の人々。獣の欲望が表面上制度のちからによって押さえられているが、いつその獣性が噴出してもおかしくない。はるかも熊の着ぐるみをまとうことによって獣たちの世界に入る。しかし獣たちは人間の着ぐるみを着ているが、はるかは熊の着ぐるみを着ている。獣の発する気を感じてゾクゾクと寒気がする。
もちろんはるかもカマトトぶってはいられない。はるかもいつか獣へと変わるのだろうか。もう一歩その道を踏み出している。

ところではるかちゃんは一巻の童夢企画の面接のシーンで尊敬する人に「社平党の土居貴子さん」をあげていた。なんかこれを読むと社会党の現実、土井たか子の現実をおもい切なくなる。
まぁ現実の社会党土井たか子がどうであれ、プライドを持って生きようとする女の子にとって尊敬される存在であれたということは、おそらく今度の選挙でついに落選し、政界を去ることになるであろう土井たか子の政治生活も多少は救われる気がする。社会党を研究されてきた某先生は社会党という政党は知れば知るほどそのゆがんだ部分、駄目な部分が見えてきて嫌になると言っていた。そして俺も共産だし、社会党土井たか子の甘い政治判断を山ほど批判してきた。それでも土井たか子が女性の政治参加、社会参加の発展において果たしてきた役割というのは正当に評価しないといけないなぁと思う。なんだかんだ言って多くの人を勇気づけてきたのだ。