G.A.アーモンド「現代政治学と歴史意識」勁草書房

「アーモンドなんて関係ないじゃん」と思ってたけど、なんとなく読んでみたら意外と面白かった。ていうか感動した。
いずれの論文も質が高い。「比較政治の機能主義アプローチ」に代表される構造−機能主義、政治システム論からの政治分析を論じた諸論文も面白いが、「政治理論と政治学」という機能主義の観点からアメリ政治学の発展を跡づけた論文が特に面白かった。統治構造を立法部、執行部、司法部に区別するフェデラリストの権力分立論のなかに構造−機能分析の萌芽を見て、さらに権力分立論への批判として生まれる政治過程論のなかにシステム概念の萌芽を見る。そしてこうした業績の上に成り立つイーストンの政治システム論と自らの比較政治システム論の成立の意義を論じるが、同時に自らの業績が過去のものとならんとしている。彼は果敢にも自ら比較政治を解体し、これからの新しい発展を展望する。切ない!
さらに本書の後書きも必読。内山秀夫先生の後書きは心に響く。本書はアーモンドの代表な論文をまとめたものだが、ようやく翻訳がなって刊行されたときには既に機能主義的政治アプローチが時代遅れになり、アーモンドのみならず、翻訳者たち自身も政治と歴史の前に敗れ去ってしまっていた
「わたしがこの論文を「現代政治理論叢書」に組み入れた動機には、アーモンド、つまり現代政治の始祖の一人である研究者の”現代的古典”を一応日本語で読んでもらえるようにしたいという願望と共に、政治学者たるものはついに<<政治>>と<<歴史>>のまえにみずからをほろぼさねばならぬことを覚悟してもらいたかったからである。」
マジで泣けるよ、これ。