歯医者に行く。

奥歯がじんじんと痛み、あげくには歯がぼろぼろになる夢を見る始末。痛みも結構あるし、そんな夢を見るぐらいだからよほど酷い虫歯なのかも知れんと、もっと悪くなる前に歯医者に行ってきた。
とりあえずなじみの歯医者に電話して、予約を取り付け、早速朝の時間に割り込ませてもらった。
受付して、しばらく待つと中に呼ばれ、診察台に座って待ってるとなじみの若先生がやってくる。
カルテを見ながら”どうしました?”と聞くので、
”右の奥歯のあたりが痛むみたい。たぶん虫歯ではないかと思うんだけど。”と答え、どれどれと口を開けて、しらべてもらう。

”右の奥歯?”
”だと思う”
”ん〜、今見たところ虫歯はないみたいだねぇ”
”へ?”
”以前処置したところも大丈夫みたいだし、虫歯ではないね。”
じゃあ何だ?勘違いか?と思っていたら、若先生は唐突に凄いことを言った。

”ねぇ、歯がぐしゃっと崩れてぼろぼろになる夢を見なかった?”

これにはびっくりした。というかギョッとした。そして思わず先生を見返してしまった。
”何で分かるんですか?まさにその通りで。歯がぐしゃっとなって。”
相当びっくりした表情をしていたのか、若先生は、そんな怖がらなくてもいいよ、別に超能力じゃないから、と笑っていって理由を説明してくれた。

”歯のすり減り具合を見ると、君の痛みの原因はかみ合わせの問題だと思うんだ。夜寝ているときとか無意識に凄く歯をぎりぎりとかみしめてしまって、それで圧迫されて痛みが出てしまう。そういうときは歯がぼろぼろになる夢を見るときがあるんだ。僕も見たことがあるよ。”

そんなことも分かるんだ。これはちょっと感動する。すげぇ。我が夢の啓示、我が宗教的経験はあっさり身体的・生理的要因に還元されてしまったではないか。医学的唯物論もやるではないか。

などと感動している内にちゃちゃっとかみ合わせの修正は終わり、また痛くなったらおいでね、はーいありがとうございました、と治療代を払って家に帰った。